平家の落人村というのがある。
無駄な想像力に精を注ぐ私としては、落人は現代まで
生き延びたと想いたく、今でも汚れた甲冑にザンバラ、
下半身は褌という姿で、山深い煤けた集落にひっそりと
生活しているところをイメージし、彼らの戦々恐々の気苦労に
心打たれるしだいである。
そのような私だから、齢100を20も30超えた人々が鍵括弧付で
「生存」し、しかも行方不明なんていう報道に接すると、不逞ながら
想像力がひとり歩きをはじめ、陶然となる。
とうとう160歳も「生存」しているという。もう痺れる。
現実に触れれば、哀しさ、浅はかさ、図々しさに絡まれた
惨めなものだろうが。